Yamagata Bar Association
形県護士会

 山形県弁護士会について

 

憲法記念日を迎えるにあたり、あらためて立憲主義の意義を確認し、
安保法制法の廃止を求める会長声明


 本日、日本国憲法が施行されてから満69年となる憲法記念日を迎えた。

 日本国憲法は、前文で「政府の行為によつて再び戦争の惨禍が起ることのないやうにすることを決意し」、「平和を愛する諸国民の公正と信義に信頼して、われらの安全と生存を保持しようと決意した」とし、平和的生存権を宣言するとともに、第9条において、戦争を永久に放棄し、戦力は保持せず、交戦権も認めないとする徹底した恒久平和主義を規定している。

 そして、日本国民は、この恒久平和主義に基づく日本国憲法のもとで、国際社会において戦争をしない平和国家としての地位を築くべく努めてきた。

 ところが、安倍内閣は、一昨年7月、歴代内閣の憲法解釈を変更し、集団的自衛権の行使を容認する閣議決定を行った。そして、この閣議決定に基づく安保法制法案を成立させるべきないとの国民の意見が多数を占めていたにもかかわらず、同法案は衆議院でも参議院でも強行採決され、昨年9月に可決成立し、本年3月に施行された。

 しかし、集団的自衛権の行使容認は、自国が攻撃されていないにもかかわらず他国のために戦争することを可能とし、平和国家としての日本の国の在り方を根本から変えるものであり、恒久平和主義を基本原理とする憲法に明らかに違反する。

 また、日本国憲法には憲法改正の手続が規定されているにもかかわらず、このような憲法の基本原理に関わる重大な解釈変更を憲法改正手続を経ずに行うことは、憲法を最高法規と定め(憲法第98条)、国務大臣や国会議員に憲法尊重擁護義務(憲法第99条)を課して政府や国会を憲法による制約のもとに置こうとする立憲主義にも反し、到底許される行為ではない。

 立憲主義は、全ての人々を個人として尊重し、その人権を保障することを目的とする。基本的人権の擁護を使命とする弁護士及び弁護士会としては、それを破壊する行為を容認することはできず、断固、反対せざるを得ない。

 よって、当会は、憲法記念日を迎えるにあたり、あらためて立憲主義の意義を確認し、国会に対して憲法違反の安保法制法を廃止する立法措置を行うよう強く求めるとともに、立憲主義や恒久平和主義の堅持に向けた取組に引き続き全力を尽くす決意であることをここに表明する。


2016年(平成28年) 5月3日
山形県弁護士会
会長  山 川   孝


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