Yamagata Bar Association
形県護士会

 山形県弁護士会について

 

憲法記念日にあたり集団的自衛権の行使容認に反対する会長声明


 本日,日本国憲法が施行されてから満68年となる憲法記念日を迎えた。

 日本国憲法は,前文で「政府の行為によつて再び戦争の惨禍が起ることのないやうにすることを決意し」,「平和を愛する諸国民の公正と信義に信頼して,われらの安全と生存を保持しようと決意した」とし,平和的生存権を宣言するとともに,第9条において,戦争を永久に放棄し,戦力は保持せず,交戦権も認めないとする徹底した恒久平和主義を規定している。

 そして,これまで政府は,憲法第9条のもとでも日本を防衛するため必要最小限度の自衛権の行使は許されると解しながらも,「自国と密接な関係にある外国に対する武力攻撃を,自国が直接攻撃されていないにもかかわらず,実力をもって阻止する権利」である集団的自衛権については,必要最小限度の範囲を超えるものであって憲法上許されない旨表明し,この憲法解釈を30年以上にわたって一貫して維持してきた。

 本年8月には戦後70年を迎えるが,日本国民は,この恒久平和主義に基づく憲法のもとで,国際社会において戦争をしない平和国家としての地位を築くべく努めてきたのである。

 ところが,安倍内閣は,昨年7月,従来の憲法解釈を変更し,集団的自衛権の行使を容認する閣議決定を行い,これに基づく安保関連法案を今月中にも現在開会中の国会に提出する予定と伝えられている。

 しかし,集団的自衛権の行使容認は,自国が攻撃されていないにもかかわらず他国のために戦争することを可能とし,平和国家としての日本の国の在り方を根本から変えるものであり,恒久平和主義を基本原理とする憲法に明らかに違反する。

 また,日本国憲法には憲法改正の手続が規定されているにもかかわらず,このような憲法の基本原理の変更を憲法改正手続を経ずに行うことは,憲法を最高法規と定め(憲法第98条),国務大臣や国会議員に憲法尊重擁護義務(憲法第99条)を課して政府や国会を憲法による制約のもとに置こうとする立憲主義にも反し,到底許される行為ではない。

 よって,当会は,憲法記念日を迎えるにあたり,法律家の団体として,恒久平和主義を守り立憲主義を堅持する観点から,集団的自衛権の行使容認に反対する意思をあらためて表明するとともに,関係法律の改正等を行わないよう強く求めるものである。


2015年(平成27年)5月3日
山形県弁護士会
会 長  安孫子 英彦


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