Yamagata Bar Association
形県護士会

 山形県弁護士会について

 

南スーダンPKO派遣の自衛隊に「駆け付け警護」等の新任務を付与することに反対するとともに、改めて安保法制法の廃止を求める会長声明


 政府は、本年11月15日、国際連合平和維持活動(PKO)として国際連合南スーダン共和国ミッション(UNMISS)に派遣される自衛隊に対して、いわゆる「駆け付け警護」などの新任務を付与する閣議決定を行った。新任務を付与された陸上自衛隊の部隊は、既に現地に入っており、今月12日から任務の遂行が可能となる。

 「駆け付け警護」とは、昨年9月成立し、本年3月施行された平和安全法制整備法及び国際平和支援法(以下併せて「安保法制法」という。)の中の「改正PKO法」に新たに盛り込まれた任務で、離れた場所にいる国連や民間NGOの職員などが武装勢力から襲われた場合に助けに向かう業務をいい、これを行うに際し、やむを得ない必要があると認める相当の理由がある場合には武器を使用することが認められている。そのため、この新任務は、自衛隊員をより危険な現場にさらし、さらに憲法9条が禁止している「武力の行使」にも発展する大きな危険性を孕んでいる。

 そのうえ、南スーダンは、本年7月に首都ジュバ市内で政府軍と反政府勢力との間で武力衝突が発生し、その後も戦闘が続き、多数の死傷者が出ている。反政府勢力の指導者である前副大統領が本年10月に「7月に起きた戦闘で和平合意と統一政権は崩壊した」として、政府軍との協議が不調に終われば内戦を継続する意思を表明しており、国連報告書も本年7月の武力衝突は「和平合意を崩壊させた」と断じていることからすれば、PKO参加5原則の一つである「紛争当事者間の停戦合意の成立」が既に崩れていることが懸念される状況にある。

 このような状況下にある南スーダンPKOの自衛隊部隊に「駆け付け警護」などの新任務を付与し、任務遂行のために武器使用を認めることは、自衛隊員が政府軍や反政府勢力の兵士を殺傷し、あるいは逆に殺傷される危険が現実のものとしてあり、もしそうなれば憲法9条が禁止する「武力の行使」に当たる事態に発展する可能性が高い。

 よって、当会は、南スーダンPKOに従事する自衛隊に「駆け付け警護」等の新任務を付与することに反対し、現にその任務が実施されることのないよう求めるとともに、改めて憲法違反の安保法制法の廃止を求め、その適用・運用に強く反対するものである。


2016年(平成28年) 12月7日
山形県弁護士会
会長  山 川   孝


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