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声明 ・ 決議
- 司法修習貸与制施行延期に関する「裁判所法の一部を改正する法律」成立にあたっての会長声明(11/01/25)
- 全面的な国選付添人制度を求める会長声明(11/01/17)
- 秋田弁護士会所属会員の殺害事件に関する会長声明(10/11/05)
- 改正貸金業法の早期完全施行等を求める会長声明(09/09/15)
- 消費者庁・消費者委員会の人事に関する会長声明(09/08/27)
- 司法修習生に対する給与支給の継続を求める会長声明(09/08/19)
- 労働者派遣法の抜本的改正を求める会長声明(09/07/01)
- 消費者庁関連3法の成立に関する会長声明(09/07/01)
- 死刑執行に関する会長声明(09/05/19)
司法修習貸与制施行延期に関する「裁判所法の一部を改正する法律」成立にあたっての会長声明
2010年(平成22年)11月26日に、さらに1年間、司法修習生に対する貸与制の施行を延期する法律が国会で可決され成立いたしました。
これにより、同月27日から司法修習が開始される新第64期司法修習生に対して、従前の制度と同様の修習費用の給費が実施されることとなりました。
今回の法改正の趣旨は、昨今の法曹志望者が置かれている厳しい経済状況にかんがみ、それらの者が経済的理由から法曹になることを断念することがないよう、給費制が継続される1年間のあいだに、法曹養成制度に対する財政支援の在り方について政府及び最高裁判所の責務として見直しを行うこととされております。また、附帯決議の2項では「法曹の養成に関する制度の在り方全体について速やかに検討を加え、その結果に基づいて順次必要な措置を講ずること」を求めています。このような改正法の内容は、給費制の完全な復活とはならなかったものの、「司法制度改革審議会意見書」(2001年(平成13年)6月12日)に基づき、この間取り組まれてきた司法改革を「第一次司法改革」と位置づけ、これをさらに検証・発展させ、市民目線で「第二次司法改革」に取り組んでいる日本弁護士連合会、そして山形県弁護士会の方針に一致いたします。
困難な国会状況のなかで改正法の成立に並々ならぬ御尽力をいただいた各政党・国会議員の方々、最高裁判所、法務省の皆さん、この法改正のための活動に御協力いただいた市民団体、消費者団体や労働団体による「司法修習生の給与の支給継続を求める市民連絡会」や法科大学院生、司法修習生、新人若手弁護士らによる「ビギナーズ・ネット」に心から感謝いたします。
今回の法改正の過程では、国会や政府、報道関係者の一部から「すべての法曹が公共的な職務を遂行しているといえるのか」「経済的に困難な者に対する支援はもっともだが、経済的に裕福な者に対してまで給費する必要性があるのか」といった問いかけを受けました。日本弁護士連合会、そして山形県弁護士会は、これまで以上に弁護士の公共的使命を自覚し、人権擁護、法律扶助制度の拡充や過疎偏在対策などに取り組んでいきます。日本弁護士連合会は、これまでにも、「新しい法曹養成制度の改善方策に関する提言」(2009年(平成21年)1月16日)、「市民の司法を実現するため、司法修習生に対する給費制維持と法科大学院生に対する経済的支援を求める決議」(2010年(平成22年)5月28日)などの提言を行ってきましたが、この法改正を受けて、山形県弁護士会でも給費制の維持を含む法曹志望者に対する経済的支援の在り方を再検討するとともに、法科大学院を中核とする新しい法曹養成制度の理念をふまえつつ、法曹養成制度全体の見直しについて積極的に取り組んでまいりたいと考えます。
2011年(平成23年) 1月25日
山形県弁護士会
会 長 高橋 健
全面的な国選付添人制度を求める会長声明
1.弁護士付添人は、少年審判において、非行事実の認定や保護処分の必要性の判断が適正に行われるよう、少年の立場から手続に関与し、家庭や学校・職場等少年を取りまく環境の調整を行い、少年の立ち直りを支援する活動を行っている。少年審判において、心身ともに未熟な少年を受容・理解したうえで、少年に対して法的・社会的な援助をし、少年の成長・発達を支援する弁護士付添人の存在は、少年の更生にとって極めて重要である。
2.子どもの権利条約第37条は、「自由を奪われた全ての児童は、弁護人と接触する権利を有する」と規定し、身柄拘束を受けた少年には、弁護士と接触する権利が保障されなければならない、としている。又、少年鑑別所に収容された少年は、少年院送致や児童自立支援施設送致等の重大な処分を受ける可能性が高い。しかし、現実には多くの少年や保護者には、弁護士付添人を選任するための費用負担の資力がなく、又、保護者が少年のためにこれらの費用を負担することに消極的な場合が多い状況がある。
3.非行を犯したとして家庭裁判所の審判に付された少年は、2008年で年間54,054人であり、そのうち観護措置決定により身体拘束された少年は11,519人に上るのに対し、弁護士である付添人が選任されたのは4,604人であり、身体を拘束された事件のうち、40パーセントに過ぎない。
4.日本弁護士連合会は、少年が希望すれば無料で弁護士が面会する当番付添人制度を全国で実施するとともに、すべての会員から特別会費を徴収して少年・刑事財政基金を設置し、これを財源として弁護士費用を援助する少年保護事件付添援助制度を拡充してきた。
当会においても、当番付添人制度を実施するとともに、被疑者国選弁護人が選任された事件については、家裁送致後も引き続き付添人をして活動しうる態勢を整備してきた。特に、平成22年10月からは、観護措置により身柄を拘束された全ての少年について、本庁以外の全ての支部においても、当番付添人の制度を拡大して整えた。
5.既に、成人の被疑者・被告人については、広範囲で国費による弁護人が選任されている状況であることと比較すれば、より必要性の高い心身ともに未成熟な少年についても、本来、国費によって弁護士付添人を選任できる権利を保障すべきである。既に述べたとおり、観護措置決定により身柄を拘束された少年については、事件の軽重を問わず、弁護士付添人の援助は必要不可欠である。
よって、当会は国に対し、少年法を改正し、少なくとも観護措置決定により身柄を拘束された全ての少年を対象とする、国費による国選付添人制度を創設することを求める。
2011年(平成23年) 1月17日
山形県弁護士会
会 長 高橋 健
秋田弁護士会所属会員の殺害事件に関する会長声明
昨日(2010年11月4日)午前4時5分頃,秋田弁護士会会員の津谷裕貴弁護士が,同弁護士の自宅を訪れた男から上半身を刃物で刺され,約1時間半後に搬送先の病院で死亡するという事件が発生しました。
いまだ詳細は不明であり,今後の捜査の進展を待つことになりますが,本事件は,受任していた離婚事件の相手方であった者が弁護士への逆恨みから殺害に及んだ業務妨害行為である疑いがあり,このような犯罪は断じて許されるものではありません。
津谷裕貴弁護士は,秋田弁護士会会長,日本弁護士連合会理事等の要職を歴任しただけでなく.消費者問題に熱心に取り組み,日本弁護士連合会の消費者問題対策委員会委員長の職にありました。当会は,このような重要な人材を失ったことに深い衝撃を受けており,痛恨の極みであります。
当会は,捜査機関に対して厳正かつ迅速な捜査と真相の徹底究明を強く求めます。
また,当会は,津谷裕貴弁護士のご冥福を祈り,ご遺族に対して心から哀悼の意を表するとともに,暴力的な手段による弁護士活動への妨害行為に決して怯むことなく毅然と対処し,弁護士の使命を貫徹していく決意であることをここに表明いたします。
2010年(平成22年) 11月5日
山形県弁護士会
会 長 高橋 健
改正貸金業法の早期完全施行等を求める会長声明
経済・生活苦での自殺者が年間7000人に達し,自己破産者も18万人を超え,多重債務者が200万人を超えるなどの深刻な多重債務問題を解決するため,2006年12月に改正貸金業法が成立し,出資法の上限金利の引下げ,収入の3分の1を超える過剰貸付契約の禁止(総量規制)などを含む同法が完全施行される予定である。
改正貸金業法成立後,政府は多重債務者対策本部を設置し,同本部は①多重債務相談窓口の拡充,②セーフティネット貸付の充実,③ヤミ金融の撲滅,④金融経済教育を柱とする多重債務問題改善プログラムを策定した。そして,官民が連携して多重債務対策に取り組んできた結果,多重債務者が大幅に減少し,2008年の自己破産者数も13万人を下回るなど,着実にその成果を上げつつある。
他方,一部には,消費者金融の成約率が低下しており,借りたい人が借りられなくなっている,特に昨今の経済危機や一部商工ローン業者の倒産などにより,資金調達が制限された中小企業者の倒産が増加しているなどを殊更強調して,改正貸金業法の完全施行の延期や貸金業者に対する規制の緩和を求める論調がある。
しかしながら,1990年代における山一証券,北海道拓殖銀行の破綻などに象徴されるいわゆるバブル崩壊後の経済危機の際は,貸金業者に対する不十分な規制の下に商工ローンや消費者金融が大幅に貸付を伸ばし,その結果,1998年には自殺者が3万人を超え,自己破産者も10万人を突破するなど多重債務問題が深刻化した。
改正貸金業法の完全施行の先延ばし,金利規制などの貸金業者に対する規制の緩和は,再び自殺者や自己破産者,多重債務者の急増を招きかねず許されるべきではない。今,多重債務者のために必要とされる施策は,相談体制の拡充,セーフティネット貸付の充実及びヤミ金融の撲滅などである。
そこで,9月1日に発足した消費者庁の所管乃至共管となる地方消費者行政の充実及び多重債務問題が喫緊の課題であることも踏まえ,当会は国に対し,以下の施策を求める。
- 改正貸金業法を早期(遅くとも本年12月まで)に完全施行すること。
- 自治体での多重債務相談体制の整備のため相談員の人件費を含む予算を十分確保するなど相談窓口の充実を支援すること。
- 個人及び中小事業者向けのセーフティネット貸付をさらに充実させること。
- ヤミ金融を徹底的に摘発すること。
2009(平成21)年9月15日
山形弁護士会
会長 半田 稔
消費者庁・消費者委員会の人事に関する会長声明
1.2009年(平成21年)5月29日,消費者庁関連三法が成立し,消費者が安心して安全で豊かな消費生活を営むことができる社会の実現に向けて,消費者の利益の擁護及び増進を目的とする消費者庁が設立され,また,独立した第三者機関として消費者行政全般に対する監視機能を有する消費者委員会が設立され,両者が,相互に協力して職務に当たることが定められたことは,当会としても高く評価するところである。
2.ところで,次に問題になるのは消費者庁及び消費者委員会の人事である。消費者庁長官,消費者委員長,そして消費者委員人事が適正に行われなければ,せっかくの消費者庁設置による消費者主権の実現は,画餅に帰する結果となってしまう。これらのポストには,消費者庁設置の経緯・趣旨を理解し,あるべき消費者行政のビジョンを持っている人,そしてなにより,消費者事件の経験が豊富であって消費者事件に精通し,消費者の目線を持った人が選任されることが期待される。
3.特に,消費者委員会は,政府や官僚の意向で動く従来の行政とは決別した真に消費者のための組織運営が期待されているのであるから,その委員長人事には,国や政府,大臣は介入せず,法の規定に則り,各委員の自由な意思に基づく互選により委員長が選任されなければならない。
4.よって当会は,政府に対し,以下の各事項を要求する。
(1)消費者委員長については,委員の互選により決定されるものであることを改めて確認するとともに,これまで積極的に消費者問題に取り組み,経験が豊富な見識ある人物を選任すること。
(2)消費者庁,消費者委員会及びこれらの参与会の議事をすべて公開とし,市民や報道機関の傍聴を認めること。
2009年(平成21年) 8月 27日
山形県弁護士会
会長 半田 稔
司法修習生に対する給与支給の継続を求める会長声明
1.平成16年の裁判所法改正と付帯決議
平成16年の裁判所法の改正により,平成22年11月1日から,司法修習生への給与支給(給費制)に代えて,修習資金を貸与する制度(貸与制)が実施されることとなった。
この改正にあたり,衆参両議院共通の付帯決議がなされ,改革の趣旨・目的が「法曹の使命の重要性や公共性にかんがみ,高度の専門的能力と職業倫理を備えた法曹を養成する」ものであること(1項),「給費制の廃止及び貸与制の導入によって,統一・公平・平等という司法修習の理念が損なわれることがないよう,また,経済的事情から法曹への道を断念する事態の招くことのないよう,法曹養成制度全体の財政支援の在り方も含め,関係機関と十分な協議を行うこと」(3項)として,弊害の防止が明記された。
2.裁判所法改正後の事情変更
裁判所法改正後,法科大学院が多数設立され,司法試験合格率は,司法制度改革審議会が期待した7,8割をはるかに下回り,平成20年度は33%にとどまっている。法科大学院への志願者は,前年度に比べて約6000名も減少している。
法科大学院への志願者が減少している背景には,合格率の低下に加え,法科大学院の学費と在学中の生活費の負担など経済的事情があることも看過できない。
そのうえ,司法修習生への給費制が廃止され,貸与制になれば,経済的不安により,初めから法曹への道をあきらめざるを得ない事態に拍車をかけることになる。まさにこれは,衆参両院が付帯決議で懸念していた弊害の現れである。
ところで,民間人である医師の養成制度については,平成16年,国家試験に合格した医師に2年間の研修を義務づけるとともに,研修中はアルバイトなしで研修に専念できるよう新たに国家予算を導入する措置がとられることとなった。
この措置により,従前から給費制廃止の根拠とされた2つの理由,即ち,非公務員である司法修習生への公費支給は極めて異例であること,及び法曹資格取得という利益を得るのであるからそのために経済的な負担をするのも当然であるとの考えは,その根拠の大半を失うことになった。
3.貸与制を再検討する必要性
司法制度改革審議会は,弁護士の役割について,「国民の社会生活上の医師」であることを求め,弁護士に社会的責任(公益性)の自覚を求めるとともに,21世紀の我が国社会において期待される「国民の役割」として,「統治の主体・権利主体である国民は,司法の運営に主体的・有為的に参加し,プロフェッションたる法曹との豊かなコミュニケーションの場を形成・維持するように努め,国民のための司法を国民自らが実現し支えなければならない。」と述べている。
司法修習生は,裁判官,検察官として公務員になるのか,弁護士として民間人になるのかを問わず,このような21世紀の我が国社会において期待される法曹として,社会的なインフラ(基盤)である。
給費制は,有為な人材の確保,司法修習への専念,公共心の醸成された人材の育成,あるいは,弁護士になった者の社会への貢献・還元という点から法曹の養成に重要な役割を果たしてきた。
貸与制の実施は,このような法曹養成の理念を損なうことになるというべきである。
4.結論
よって,当会は,国会,政府及び最高裁判所に対し,平成16年の裁判所法改正後の事情の変更,及び給費制が法曹養成に果たしてきた役割をふまえ,給費制に代えて貸与制を実施する時期を,平成22年11月1日から相当期間延期したうえで,給費制の継続の措置を講じられることを強く求める次第である。
以上
2009年(平成21年) 8月 19日
山形県弁護士会
会長 半田 稔
労働者派遣法の抜本的改正を求める会長声明
2008年9月のアメリカの金融危機に端を発した経営不安の中で,非正規労働者の切り捨てが全国各地で進行している。2009年5月1日の厚生労働省発表によると,派遣労働者・期間労働者・請負労働者・パート労働者などの非正規労働者の失業が,昨年10月から本年6月にかけて約20万7000人に達するとのことである。そのうち約65%が派遣労働者であり,派遣労働者の地位が極めて不安定であることを如実に表している。山形県内でも昨年10月から本年6月までで約5500名の非正規労働者の失業が発生し,全国的にみても深刻な事態に至っている。
1985年成立の労働者派遣法は,派遣対象業種を専門性の高い業務に限定していたが,その後の規制緩和の流れのもと,1999年に労働者派遣が原則自由化され,2003年には製造業への派遣も解禁された。その結果,企業はコスト削減を目的として派遣労働者の雇用を拡大することとなったが,派遣労働者を雇用の調整弁として使用したため,不況のもとその雇用が安易に打ち切られる事態となったものである。
政府は2008年11月4日労働者派遣法の一部改正法案を閣議決定して,国会に上程し,これから本格的に審議されようとしている。しかしながら,政府の派遣法改正案は,派遣労働者の保護を目的とし,派遣切りを制約するという抜本的改正にはほど遠いものである。政府は,非正規雇用の増大に歯止めをかけワーキングプアを解消するために,正規雇用が原則であり,有期雇用を含む非正規雇用は合理的理由がある例外的場合に限定されるべきであるとの観点に立って,労働法制と労働政策を抜本的に見直すべきである。
当会は,派遣労働者の雇用と生活の安定のため,労働者派遣法については,次のような抜本的改正を行うべきことを求める。
1 派遣対象業種を専門的なものに限定すべきである。
2 仕事があるときだけ派遣する登録型派遣は禁止すべきである。
3 派遣先が毎日のように変わる日雇い派遣は禁止すべきである。
4 違法派遣,期間経過の派遣,偽装請負については,派遣先との直接雇用となるみなし規定を置くべきである。
5 派遣労働者に派遣先労働者との均等待遇をなすべき義務規程を置くべきである。
6 マージン率の上限規制を設けるべきである。
7 グループ内派遣は原則として禁止すべきである。
8 派遣先の特定行為は,派遣労働の常用代替を認めることにつながることから,禁止すべきである。
2009年(平成21年) 7月 1日
山形県弁護士会
会長 半田 稔
消費者庁関連3法の成立に関する会長声明
2009年(平成21年)5月29日,消費者庁及び消費者委員会設置法,消費者庁及び消費者委員会設置法の施行に伴う関係法律の整備に関する法律及び消費者安全法の消費者庁関連3法が成立した。
近年,悪質商法被害や多重債務被害など,多くの分野での消費者被害が次々と発生ないし顕在化しており,これら被害を救済・防止できない消費者行政の仕組みや体制の問題性が指摘されてきた。
このような事態に対し,当会は,2008(平成20)年6月26日「消費者行政新組織の実現を求める会長声明」を発表し,山形県内においても,消費者行政新組織の実現を求める多数の署名が寄せられるなど,その実現が強く期待されていたものである。
こうした中で,消費者庁関連3法が成立し,消費者が安心して安全で豊かな消費生活を営むことができる社会の実現に向けて,消費者の利益の擁護及び増進を目的とする消費者庁が設立され,また,独立した第三者機関として消費者行政全般に対する監視機能を有する消費者委員会が設立され,両者が,相互に協力して職務に当たることが定められたことは,高く評価される。
当会は,今後も引き続き,消費者被害の予防と救済に全力で取り組むとともに,今後の課題とされた,消費者行政の基本ともいえる消費生活センター及び市区町村の相談窓口の相談体制の充実に向けて,全力を尽くす所存である。
2009年(平成21年) 7月 1日
山形県弁護士会
会長 半田 稔
死刑執行に関する会長声明
2009年1月29日,東京拘置所において1名,名古屋拘置所において2名及び福岡拘置所において1名の計4名の死刑確定者に対して死刑が執行された。
これは,森英介法務大臣が就任してから2度目,昨年10月の執行に続き,3か月という極めて短い期間で死刑を執行する姿勢を示したものであり,誠に遺憾である。
我が国では,4つの死刑確定事件(免田・財田川・松山・島田各事件)について再審無罪判決が確定し,死刑判決にも誤判が存在したことが明らかとなっているが,このような誤判を生じるに至った制度上,運用上の問題点について,抜本的な改善が図られておらず,誤った死刑の危険性は依然存在する。また,死刑と無期刑の量刑につき,裁判所によって判断の分かれる事例が相次いで出され,死刑についての明確な基準が存在しないことも明らかとなっている。
さらに,死刑判決事案ではないが,2009年5月8日には足利再審請求事件において,弁護側及び検察側それぞれが推薦した鑑定人がいずれも確定判決により服役している受刑者と被害者の着衣に付着していた体液のDNAが一致しない旨の鑑定結果を裁判所に提出していることが明らかとなった。この鑑定結果は,確定判決の有力な証拠とされていた事件当時のDNA鑑定の証拠価値を揺るがすものであり,科学鑑定を絶対的証拠としては評価することができない場合があることを示している。この点においても死刑の執行には問題があるというべきである。
また,2009年5月21日から裁判員裁判制度が実施されるところであるが,多くの国民から死刑判決の判断をすることに対する不安と戸惑いが表明されている。そこで,死刑に関する国民的議論を更に深める必要があり,その意味においても死刑の執行を当面停止する必要がある。
当弁護士会は,2002年11月に発表した「死刑制度問題に関する提言」及び2004年10月に採択された「死刑執行停止法の制定,死刑制度に関する情報の公開及び死刑問題調査会の設置を求める決議」において,死刑制度の存廃につき国民的議論を尽くし,また死刑制度に関する改善を行うまでの一定期間,死刑確定者に対する死刑の執行を停止する旨の時限立法(死刑執行停止法)の制定を提唱してきた。
当弁護士会は,改めて政府に対し,死刑制度の存廃を含む抜本的な検討及び見直しを行うまでの一定期間,死刑の執行を停止するよう,重ねて強く要請するものである。
2009(平成21)年5月19日
山形弁護士会
会長 半田 稔
